2023年12月21日に実際に泊まった記録です。料金・メニューはすべて当時のものです。

部屋にスイッチが無い
泊まってみて最初に戸惑ったのは、壁を探しても電気のスイッチが無いことでした。
青荷温泉は、青森県黒石市の山あいにある一軒宿です。電灯もテレビもエアコンも無く、携帯電話も通じません。夜はランプの灯だけで過ごします。


昼のうちは窓からの光で十分ですが、日が落ちると本当にランプだけになります。文字を読むのは難しい。スマホを見る習慣が、物理的に断たれます。
暖房は石油ストーブでした。ランプの灯りと、ストーブの音と匂い。この2つで一晩を過ごすことになります。
明かりはランプ、暖房は石油ストーブ。これを不便と取るか、そのために来たと取るか。そこで評価が分かれる宿だと思います。
どうやって行ったか
私たちはJTBのツアー(「青荷温泉ランプの宿と不老ふ死温泉 3日間」)で行きました。2023年12月20日出発の3日間で、青荷温泉は2日目です。
個人で行く場合、公共交通機関だとかなり時間がかかります。弘前バスターミナルからバスで黒石へ45分、さらにバスで虹の湖公園まで35分、そこからタクシーで15分。青森空港からでもバスで約55分かかります。
冬は道が雪に埋もれます。運転に自信がなければ、送迎付きのプランかツアーが現実的だと思います。
この日は午前に弘前城、昼に酸ヶ湯温泉に立ち寄ってから向かいました。酸ヶ湯を出るときの投稿が残っています。
本日の立寄り湯♨️
有名な酸ヶ湯温泉。
硫黄の匂いたっぷりのええ湯でした。
これから携帯の電波が届かない青荷温泉ランプの宿へ向かいます。
2023年12月21日 14:46 の投稿より
向かう前から、圏外は覚悟のうえでした。これを投稿して、携帯は実質ここでおしまい。次に電波がつながるのは翌日です。
「黒石」という標識を見ながら
宿へ向かう道中、車窓に「黒石」の標識が見えました。青荷温泉は黒石市にあります。
その少し前に、高橋克彦の『火怨 北の燿星アテルイ』を読んでいました。平安初期、東北の蝦夷(えみし)が朝廷の軍と戦った話です。
この小説にモレ(母礼)という人物が出てきます。「黒石の族」の出身で、智謀に長けた軍師として、若き蝦夷の長アテルイの右腕になる男です。
標識を見た瞬間、そのモレのことを考えていました。
もっとも、小説に出てくる「黒石」が、いま通っているこの黒石と同じ場所なのかは分かりません。史実の母礼は「盤具公母礼(ばんぐのきみもれ)」と呼ばれ、アテルイの舞台は胆沢(現在の岩手県奥州市)あたりとされています。
それでも、雪の中を走るバスの窓から同じ地名を見れば、読んだばかりの人物を思い浮かべます。温泉に着く前から、この旅は少し面白くなっていました。

風呂は4か所。すべて源泉かけ流し
母屋の男女別の内湯、離れの露天風呂など、特色の違う4か所があります。泉質は単純温泉。無色透明で、肌あたりはやわらかい。



冬の露天は、雪に囲まれた中に湯だけがあるという状態でした。


12月の東北ですから、当然ながら脱衣所から湯船までが寒い。ただ、そのぶん湯に入ったときの落差が大きい。
食事は山のもの
夕食も朝食も、岩魚・山菜・鍋といった山のものが中心でした。



いちばん印象に残ったのは岩魚の塩焼きでした。
宿を発った直後の投稿が、感想そのままです。
宿の食事。
岩魚の塩焼きが、めっちゃ美味かった😋
味噌汁が全然辛くなくて関西人の口にも合う。
2023年12月22日 9:56 の投稿より
東北の味噌汁は塩辛いだろうと身構えていたのですが、まったくそんなことはありませんでした。関西から行く方は、この点は心配しなくていいと思います。
派手さはありませんが、この宿に来て豪華な会席が出てきたら、かえって場違いだと思います。
ランプの宿 青荷温泉
電気も電波も届かない「圏外の宿」ほぅっと灯されるランプの明かり。4つの湯めぐり。
- 最安 13,750円〜
- 評価 4.34(367件)
- 最寄 黒石(青森)
- サービス4.20
- 立地4.47
- 部屋4.07
- 設備4.08
- 風呂4.52
- 食事4.38
Supported by 楽天ウェブサービス(料金・空室情報は楽天トラベル提供。変更される場合があります)
日帰りでも行ける(2023年12月時点)
宿泊しなくても、昼食と入浴だけで訪ねることができます。当時の掲示にあった昼のメニューは以下のとおりでした。
お昼の献立(11:00〜14:00)
| 品 | 価格 |
|---|---|
| 青荷定食 | 3,500円 |
| 山川定食 | 2,500円 |
| 川菜定食/山菜定食/釜飯定食/鍋定食/イガメンチ定食 | 各1,500円 |
| 青荷玉子とじ定食(おすすめ) | 1,200円 |
| イガメンチカレー | 700円 |
| 山菜うどん・そば・ざるうどん・ざるそば・イガめん | 各750円 |
一品料理
| 品 | 価格 |
|---|---|
| 岩魚 刺身 | 1,300円 |
| 岩魚 塩焼/田楽/唐揚 | 各750円 |
| 岩魚の骨酒(三合) | 2,650円 |
| 岩魚の骨酒(二合) | 2,200円 |
| 生ビール(中) | 600円 |

米は青森県産を使っているとの掲示がありました。
※これは2023年12月時点の価格です。現在の料金・営業時間は必ず公式サイトでご確認ください。
泊まる前に知っておきたいこと
実際に行って、「これは先に知っておきたかった」と思ったことを挙げます。
携帯は通じません。連絡が必要な用事は、着く前に済ませておいてください。到着後は完全に外と切れます。
私たちは向かう前から分かっていたので、道中でこう書いていました。
これから携帯の電波が届かない青荷温泉ランプの宿へ向かいます
部屋にコンセントがありません。充電はできないものと考えて、モバイルバッテリーを持って行くか、諦めるか。
夜は本当に暗い。トイレへ行くだけでも、ランプか手元の明かりが要ります。
冬は雪が深い。通路は雪の壁の間を歩くことになります。滑らない靴を。
→ この旅で考えていたことを、別に一本にまとめました: 『火怨』を読んで青森へ|「黒石」の標識と、十和田神社に残る坂上田村麻呂の名前
それでも行く価値があるか
私は「ある」と思いました。
ランプの明かりは、思っていたよりずっと暗い。本を読むのも難しい。でも、その暗さの中で湯に入って、飯を食って、寝るだけの一晩というのは、他ではなかなか味わえません。
設備を求めて行く宿ではありません。何も無いことを買いに行く宿です。
宿を出た翌朝の投稿は、こうでした。
昨晩のお宿。
ランプの灯りと石油ストーブで過ごす一夜。
中々の非日常感でした。
2023年12月22日 9:50 の投稿より
じつはこの旅の初日の朝、出発前に「しばしの間、非日常を楽しんでまいります」と投稿していました。その「非日常」を、3日間でいちばん濃く回収してくれたのがこの宿です。宣言どおりの一夜でした。
この記事の情報について
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 訪問 | 2023年12月21日(JTB旅物語のツアーで宿泊) |
| 所在地 | 青森県黒石市 |
| 風呂 | 4か所・すべて源泉かけ流し(単純温泉) |
| 参考料金 | 2名 税込27,500円〜(公式の掲載価格) |
※料金・設備は変わることがあります。予約前に公式サイトでご確認ください。


